芸人になるまでの背景と元19としての歩み
笑いに目覚めた幼少期と原点
幼い頃から家で流れるバラエティ番組や近所の寄席の音が、いつの間にか僕の生活の一部になっていました。学校の学芸会で一発芸をやってみせると、友達の笑い声に背中を押されるようにもっと面白いことを考えるようになった。特別にお笑い一筋というよりは、人を喜ばせること、場を盛り上げることが自然と好きになっていったという感覚です。学生時代は部活やアルバイトの合間にネタ帳を作り、小さなライブハウスや学内イベントで場数を踏む日々が続きました。
仲間と作った「19」—結成からの試行錯誤
コンビは偶然の出会いから始まりました。価値観や笑いのツボが合う相方と、単に「やってみよう」と始めたのがきっかけです。名前を「19」にしたのは、語感と自分たちの若さ、挑戦の気持ちを込めてのこと。最初は小さなライブのチケットノルマをこなす日々、漫才の型を模索する夜、先輩芸人の厳しいアドバイスに泣きたくなることもありました。けれど互いを信じてネタを磨き、地元のフリーステージやコンテストに出続けるうちに、少しずつ自分たちの色が出てきました。日常の細部を切り取る観察力と、シュールなボケとツッコミのテンポが僕たちの持ち味になっていったのです。
「元19」としての歩みと次の一歩
活動の中で得た経験は、名前が変わっても自分に残る財産です。解散や活動休止といった節目は避けられないものでしたが、それまでに培った舞台力や人脈、ものごとを笑いに変える視点は、その後のピン活動やラジオ、地方のイベント、ワークショップなど様々な形で活かされました。「元19」という肩書きは過去を示す一方で、どこか安心感も与えてくれます。人前に立つこと、言葉で人を動かすことの難しさと面白さを、僕はその歩みの中で何度も噛みしめてきました。次に進むための土台は、あの頃の数え切れない失敗と少しの成功が作ってくれたのだと感じています。
浜田雅功との出会いが変えた具体的な出来事
初対面で受けた、はっきりした一言
初めて浜田さんと会ったのはあるライブの控室でした。挨拶をしてすぐに、彼は僕のステージの映像を見せてくれて、「お前、遠慮しすぎや。前に出てこい」と端的に言い放しました。その場での一言がこんなに胸に刺さるとは思っていませんでしたが、あれが僕の考え方を大きく変えるきっかけになりました。言葉だけでなく、彼は具体的に「笑いを取ろうとしなくていい。自分のクセを出せ」とアドバイスしてくれ、それを聞いてからステージでの振る舞いを根本から見直すようになりました。
あのときの指摘を受けて、次のライブでは自分の弱さや素直さを隠さずに出すことを意識しました。結果として客席の反応が変わり、アンケートで「親近感がある」という声が増えたのを覚えています。浜田さんの率直さは厳しくも温かく、僕にとっては目から鱗の体験でした。
テレビ出演のチャンスが現実になった瞬間
浜田さんの紹介で、思いがけずあるバラエティ番組の収録に呼んでもらったことがあります。スタジオは想像以上に速いテンポで、初めは押され気味でしたが、浜田さんが空気を作ってくれたおかげで自分のペースで話せる場面ができました。その収録が放送された後、反響が大きく、出演依頼が増えたのは明らかに彼との出会いが直接のきっかけです。
このテレビ出演を契機に、事務所からの仕事の幅も広がり、フリーの仕事でも対応できる自信がつきました。単に露出が増えただけでなく、場慣れして柔軟に対応する力を身につけたことで、オファーの内容そのものも変わっていきました。
日常と制作に及んだ具体的な変化
浜田さんの影響は舞台やテレビだけに留まりません。僕の制作スタイルや日常の習慣にも具体的な変化が出ました。例えば、曲作りでは完璧を目指しすぎて固くなっていた部分を「まず出してみる」という姿勢に切り替え、ラフなアイデアをそのまま残すようにしました。結果として、制作スピードが上がり、思わぬヒットフレーズが生まれることも増えました。
また、メンタル面でも大きな変化がありました。ライブ前のルーティンや緊張の解消法を教わったわけではないのに、浜田さんの振る舞いから「不安を隠さず見せる強さ」を学び、共演者やスタッフとの接し方も自然と変わっていきました。些細な出来事に思えるかもしれませんが、これらの積み重ねが自分の表現の幅と持久力を確実に高めてくれたのです。
転機後の変化と現在の活動、今後の展望
暮らしと考え方に訪れた変化
僕にとって浜田さんとの出会いは、単なる仕事上の転機だけではなく、毎日の暮らしや音楽に対する向き合い方そのものを変える出来事でした。ステージでの立ち振る舞いやトークの間の取り方、プロとしての責任感——そういった細かい部分を意識するようになり、自分の表現に対する妥協が少なくなりました。以前は「良い曲を作れば伝わる」と思っていましたが、今は表現の総合力が大事だと実感しています。家族や仲間との時間の優先順位も見直し、仕事と私生活のバランスを保つことが長く活動を続けるために必要だと考えるようになりました。
現在取り組んでいること
最近はライブ活動だけでなく、若いミュージシャンのプロデュースや楽曲提供、ラジオやポッドキャストでのトークなど、多方面で活動しています。スタジオワークでは歌詞やアレンジに細かく関わり、表現を引き出すことにやりがいを感じています。また、不定期で行う弾き語りライブでは、原点に立ち返ってリスナーと直接向き合う時間を大切にしています。浜田さんから学んだ「瞬間を作る力」は、ステージ以外の場面でも生きていて、テレビやイベントの司会・出演依頼にも前向きに取り組んでいます。並行して、音楽教育の場でワークショップを開き、若手に実践的なノウハウを伝える活動にも力を入れています。
これからの目標と挑戦
これからは、音楽活動の幅をさらに広げつつ、自分が受けた影響を次の世代に繋げていきたいと考えています。具体的には、新しいアルバム制作やコラボレーション企画、舞台やドラマといった演劇的要素のある表現にも挑戦したいですし、機会があれば浜田さんとまた何か形にしたいという思いもあります。加えて、長く続けられる活動基盤を作るためにプロデュース業や音楽教室運営といった裏方の仕事にも注力するつもりです。失敗を恐れずに新しい挑戦を続け、恩返しの気持ちを形にしていきたい——そんな展望を胸に、日々一歩ずつ前に進んでいます。


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