旧統一教会と解散命令の背景
2025年3月25日、東京地方裁判所は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対し、解散命令を下す決定を下しました。このニュースは、多くの人にとって衝撃的であり、同時に長年の議論に一つの区切りをつけるものでした。

旧統一教会といえば、2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、高額献金や霊感商法といった問題が再び注目を集め、社会的な関心が高まった団体です。
事件後、被害者やその家族からの声が相次ぎ、文部科学省が動き出したことで、今回の司法判断に至りました。
しかし、この決定は本当に教団の活動を終わらせることができるのでしょうか?今回は、その背景と意義、そして今後の課題について考えてみます。
解散命令に至る経緯
解散命令の物語は、2022年の安倍元首相銃撃事件に遡ります。容疑者の母親が高額な献金を教団に捧げていたことが事件の動機の一つとされ、これが引き金となり、旧統一教会の問題が再浮上。文部科学省は翌2023年10月、宗教法人法に基づき、東京地裁に解散命令を請求しました。
国側は、170人以上の被害者へのヒアリングや民事裁判の記録を基に、「長期間にわたり高額献金や霊感商法で信者に財産的・精神的被害を与えた」と主張。被害総額は民事判決だけで22億円、和解や示談を含めると204億円に上るとされました。
一方、教団側は「献金は宗教活動の一環であり、2009年のコンプライアンス宣言以降は問題が改善されている」と反論。法令違反の要件に民事上の不法行為は含まれないとも主張しましたが、2025年1月に審理が終了し、今回の決定へと進みました。
この間、非公開の審問が4回行われ、現役・元信者5人が出廷して実態を証言したとされています。
東京地裁の判断とその意義
東京地裁の鈴木謙也裁判長は、決定の中で厳しい言葉を並べました。「2009年までに1500人、190億円を超える被害があり、その後も見過ごせない状況が続いている。教団のコンプライアンス指導は不十分で、事態の改善は期待できない」と指摘。
さらに、「献金や勧誘が教義と密接に関連し、多数の被害申し出にも根本的な対策を講じなかった」とし、解散命令が「やむを得ない」と結論づけました。
この決定は歴史的です。宗教法人への解散命令は過去に2例(オウム真理教、明覚寺)ありましたが、いずれも刑事事件が根拠でした。今回は刑事立件がない中、民法上の不法行為を理由にした初のケース。最高裁が2025年3月に「民法上の不法行為も解散命令の要件に含まれる」と判断したことが後押しとなり、法的なハードルを越えた形です。宗教法人法が定める「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為」に該当すると認められたのです。
今後の展開と課題
しかし、物語はここで終わりません。教団は即時抗告を検討しており、東京高裁、さらには最高裁まで争う可能性があります。抗告すれば解散命令の効力は停止し、確定まで数年かかることも考えられます。もし確定すれば、教団は宗教法人格を失い、税制優遇がなくなり、財産清算を迫られます。
文部科学省は既に「指定宗教法人」として不動産処分の事前届け出を義務づけており、財産隠しを防ぐ動きも見られますが、任意団体として活動を続ける道は残されています。

被害者救済も大きな課題です。全国統一教会被害対策弁護団は「解散命令を高く評価する」としつつ、「全被害者への謝罪と賠償」を求めています。しかし、清算手続きでは財産が散逸するリスクがあり、救済が十分に進まない懸念も指摘されています。
また、「宗教2世」の苦悩など、社会的な影響は根深く、解散だけで解決する問題ではありません。信教の自由と公共の福祉のバランスをどう取るか、この判決は私たちに大きな問いを投げかけています。
結論:私たちの社会が向き合うべきこと
旧統一教会への解散命令は、確かに一つの勝利です。
しかし、それが教団の活動を完全に止めるわけではなく、被害者救済や再発防止にはさらなる努力が必要です。阿部文部科学大臣は「主張が認められた」とコメントしましたが、紀藤正樹弁護士が「30年間の被害を単純に喜べない」と語るように、課題は山積しています。
この問題をどう見るか、あなたはどう思いますか?私たちは、信教の自由と社会の安全を両立させる道を、今後も模索し続ける必要があるでしょう。


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